ヨーロッパの若い世代の失業率は、多い国では50%以上に登ります。ニートや引きこもりが増えているといわれる日本でも6%なのに対し、これは驚異的な数字です。なぜこのようなことが起こっているのでしょう?解決策のヒントは、ドイツが独自に行っている職業訓練システムにありそうです。

ヨーロッパの若者の失業率の高さ

欧州統計局(Eurostat)によると、EU圏内で550万人もの15〜24歳の人たちが職についていないといわれています。これは割合にすると全体の22%。つまり5人に1人の若者が失業中しているわけです。
15〜24歳の失業率を国別にみてみると次のようになります。
イタリア:40%
フランス:30%
ギリシャ:59%
スペイン56%
ポルトガル42%
日本はというと、失業率はおよそ6%。就職氷河期という言葉も聞かれていますが、ヨーロッパと比べると、日本は若者の就業率がかなり高い国ということがわかります。

ヨーロッパで若い世代が働くことができない理由とは

南ヨーロッパでは、なんと半数以上の若い世代が失業しているという現実。なぜこのような事態が起こっているのでしょう?理由は宗教上、法律上のものなど、国ごとによってさまざまです。
・イスラム系の移民に末端の仕事を奪われている
・法律上、労働者を簡単に解雇できないため、中年労働者ばかりが中心に雇用されている
・企業側が新卒者の採用に慎重になっている
・欧米は社会福祉が発達し、働く動機付けが日本より弱い傾向にある

働けないヨーロッパの若者はどうするの?

日本では、とりあえずバイトで生計を立てることが可能です。しかしヨーロッパではアルバイト事情が大きく異なり、それで食べていくことはできません。例えばスペインでは、レストランでアルバイトをしても月に2〜300ユーロしか稼げません。これは、日本円にすると2〜3万円程度の額です。

収入が得られない若者は、失業保険などの社会保障で凌いでいくしかなく、最終的には次のような手段をとるしかないようです。
・実家に帰り、両親、祖父母の年金のお世話になる(結果、スペインなどでは70〜80歳になっても働く高齢者が多い)
・就職のために海外に移住する
住む場所や生活スタイルを変えながら方向性を模索する。ヨーロッパの若い人たちは、そんな現実を生きています。

ドイツだけは若者の失業率が低いその「秘密」とは?

ヨーロッパの中でもドイツだけは、若い世代の失業率が7.8%と、大変低くなっています。少子高齢化の進むドイツでは若者の数自体が減っているので“失業率”が下がっているのは当然ともいえますが、それだけではありません。
ドイツには、若者の就職を支える他の国にはない「職業訓練システム」があるのです。

ドイツの“アウスビルドゥング”が就業率UPのカギを握る

ヨーロッパの失業問題を解決するカギは、「職業訓練システムを充実させることにある」といわれています。仕事に対する知識や経験が乏しい新卒者でも、現場の戦力になれれば、企業は積極的に採用を行うわけです。そのためには、就労前に実践的な経験を積むことが大切です。

ドイツの「アウスビルドゥング」と呼ばれる職業訓練システムでは、企業で実践的な経験を積みながら、訓練校で理論を含めたさまざまなノウハウをいっしょに学ぶことができます。そのため、アウスビルドゥングをでた若者は、専門知識と実践力を兼ね備えて貴重な戦力になっていきます。

企業は、そんな若い世代を積極的に採用しつつ、アウスビルドゥングの実践の場を提供します。ヨーロッパ各国が若者の失業率を下げるたには、職業訓練システムの改善が必要。ドイツのアウスビルドゥングを見本にして、それぞれが自国に合ったシステムを作り上げていくことが重要です。